小野寺愛のESYA報告(0) 「エディブル・スクールヤード(食育菜園)ってなに?」

こんにちは。小野寺愛です。

エディブル・スクールヤード・ジャパンの奨学生として、2016年6月26日〜7月1日まで、米国カリフォルニア・バークレーで開催された「エディブル・スクールヤード・アカデミー2016」にて、研修を受けてきました。これから長編レポートにて、アカデミーでの報告を行います。報告を読んでいただける方には、読む前に、ぜひ、エディブル・スクールヤードとはなにか、映像でご覧いただきたいと思います。


The Edible Schoolyard(エディブル・スクールヤード、以下ESY)とは?

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エディブル・スクールヤード・プロジェクトのはじまりは、今から20年前。荒れた中学校を立て直そうと、地域の有名レストラン「シェ・パニーズ」オーナーであり、全米オーガニックの母と呼ばれるアリス・ウォーターズが Martin Luther King Jr. Middle Schoolの校庭に畑を作りました。野菜からの調理をしたり、皆で食卓を囲んだりという経験がない家庭も少なくない中、栽培から食卓までのつながりを「命の学び」と位置づけたガーデンとキッチンでの授業は、子どもたちと地域に大きな変化を起こしました。

いま、全米はもちろん、世界中にその流れが広がり、米国大統領夫人ミシェル・オバマさんがアリスの「美味しい革命」を応援して、ホワイトハウスに菜園を作ったのは有名な話。視察者が後をたたず、「ニーズがこんなにあるなら」とはじめたのが、今回私も参加した「エディブル・スクールヤード・アカデミー」です。

この研修プログラムも今年で8回目。最初は30人に対して3日間の研修を行いましたが、今では、全米および海外からも400人を超える参加希望者が応募し、うち90人が5日間の研修を受けました。理論だけでなく、デモ授業を体験し、運営方法や地域との連携策まで学ぶ、実践的なトレーニングの場となっています。

 

報告の目次

これから以下の流れで、アカデミーの報告をさせていただきます!

0)「エディブル・スクールヤード(食育菜園)ってなに?」
1)「エディブル・スクールヤード(食育菜園)のプログラム」
2)「It’s time for Edible Education – 今こそ、エディブル教育を」
3)「アリス・ウォータースのことば」
4)「もっと楽しく、風通しのいい職場をつくるために – ESY運営のヒミツ」
5)「教育者の仕事は、教えないこと」
6)「エディブルスクールヤードの菜園紹介 〜自然に夢中な子どもを育てるために〜」
7)「エディブルスクールヤードのキッチン紹介 〜食べ物と「恋に落ちる」子どもたち〜」
8)「家庭と地域とのつながり」
9)「まとめ・そして、日本へ」

どこから読んでいただいても楽しんでいただけるように書いたつもりですが、前から順に読むと、エディブル・スクールヤードについてを体系的に理解していただけると思います。

 

まずは、自己紹介!

語り手の背景がわからないと、記事にも感情移入ができないものです。まずは簡単に、私自身の紹介をさせてください。

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(写真右が筆者、中央がアリス・ウォータース、左が同じくエディブル・スクールヤード・ジャパン・アンバサダーのガーデンティーチャー、早川雅貴さん)

私は神奈川県逗子市に暮らす三児の母です。いま一番関心があるのは、子どもといっしょに足下の自然で遊び、「みんなでつくって、みんなで食べる」こと。農業については初心者ですが、この春、9歳と6歳の娘が通う地元の公立小学校で、保護者有志と子どもたちによる畑をはじめました。放課後NPOアフタースクールとして、逗子市の児童青少年課から助成を受け、「レイズドベッド(上げ花壇)をつくろう」「土作りをやってみよう」「夏野菜で流しそうめんをしよう」など、月に一度、放課後にエディブルなイベントを行っています。

人として生きることの真ん中にあるのは、食べること。遊ぶこと。そして、集うこと。小学校に通う娘たちの様子を見ていて、教室で前を向いて座って、国語・算数・理科・社会を教わっているだけでは、大事なことは身に付かないと感じています。音楽と体育と図工が入っても、まだ足りない。もし学校に「菜園」の授業があったら、そして「Farm to Table(栽培から食卓へ)」のつながりがすべての子どもの日常になったら、どれだけ人生が、そして世界が豊かになるでしょうか。

「菜園」授業をすべての学校の正式教科に。
「みんなでつくって、みんなで食べる」をすべての子どもたちの日常に。

どうしたらそれを実現することができるかを探りに、今年6月、米国バークレーへ行ってきました。全米および海外から90人の教育関係者が集まり、理論だけでなく、デモ授業も体験し、運営方法や地域との連携策まで学ぶ、実践的なトレーニングの場。ギュッと詰まった数日間で得た学びは、予想をはるかに上まわるものでした。

ESYで大切にされていることは、大きく3つあります。

・指示を受けなくても子どもが自ら選択、判断することができる場のデザイン。
・「はじまり、中盤、終わり」のリズム。
・先生たちの、「教える」ではなく「共に学ぶ」姿勢。

参加者をリラックスさせ、楽しい雰囲気の中で自然と「学びたい」と思わせる流れのデザイン。学校菜園を運営する知恵や、場作りの技術もさることながら、あたたかでオープンなESYのスタッフたちの「在りかた」から本当に多くを学びました。

日本でもこの流れが広がることを願いながら、今回、アカデミーで得た学びを共有させていただきます。

 

アカデミーでの学び

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3人の子どもたちを夫と母と義母と友人に託して出張するのは初めてのことで、「ちょっとやそっとでは国に帰れない」と、肩に力が入りまくった状態でのスタートです。それが、どうでしょう。初日、スタッフのあたたかいウェルカムを受け、菜園でとれた野菜をいただき、菜園にある手作りの石釜でつくったピザと、森のように茂ったレモンバーベナのお茶をいただき、世界中から集まった90人の同志たちと話をするうちに、スルスルと、肩の力が抜けていきました。

スケジュールとしては、予想通りにハードだったのです。研修生たちが30人ずつ、ラディッシュ、ネギ、茄子という名の3つのチームに分かれ、私のチーム(ラディッシュ)では毎日朝7時半の朝食集合から17時まで、下記のような流れで学んできました。

Day 1 – Welcome / 顔合わせと校内オリエンテーリング
Day 2 – Administration & Evaluation / 運営と評価について
Day 3 – Garden Class / ガーデンクラスの運営と授業のデモンストレーション
Day 4 – Fundraising & Kitchen class / 資金調達とキッチンクラスの運営
Day 5 – Kitchen class & Action planning / キッチン授業のデモンストレーションと帰国後の計画

ところが、学びの濃さと反比例するように、毎日自分がどんどんリラックスしていくのがわかります。ギュッと詰まった数日間をバークレーで過ごしてきた最初の感想は、「楽しかった!美味しかった!」。そして、得た学びは、予想をはるかに上まわるものでした。

参加者をリラックスさせ、楽しい雰囲気の中で自然と「学びたい」と思わせる流れのデザイン。学校菜園を運営する知恵や、場作りの技術もさることながら、そもそも人間としての成長を促されるような、この感じはなんでしょう…

ESYで大切にされていること(先述の3点)は、子どもに接するときだけでなく、私たちアカデミーの受講生に対しても同じ。あたたかでオープンなESYのスタッフたちの「在りかた」から、本当に多くを学びました。 それを、これから10回の連載で少しずつ紐解いていきたいと思います。

どうぞ、よろしくお願いいたします!

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